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新校長就任のご挨拶

東京中華学校は創立以来、今年で96年目を迎えます。戦乱の時代を経てもなお、本校は日本に住む華僑の子どもたちに中華文化と繁体字教育を提供するという信念を貫いてきました。私は台湾の学校で10年以上の教育経験があり、東京中華学校でも11年間、教務主任・学務主任・担任などを歴任してきました。今年より校長に就任し、「学生」を学校の中心とする理念のもと、教職員全員と力を合わせ、調和の取れた校風のもとで質の高い教育を提供するため尽力してまいります。

校内に響く国歌や、青天白日満地紅の国旗が掲げられる光景を目にするたびに、胸が熱くなります。異国に暮らす若者たち、そして日本の子どもたちが、東京中華学校を通じて台湾と心をつなぎ、絆を築いていることを実感するからです。哲学者プラトンは「人は幼少期にどのような教育を受けるかによって、その後の人生が決まる」と語りました。まさに教育は生涯にわたる影響を与えるものです。東京中華学校は、静かにしかし確かに、日本に暮らす多くの生徒たちに指針を示し、ふるさとを思う心を育んでいます。

校長として私は、急速に変化し情報が溢れる現代において、生徒たちには言語力だけでなく、情報リテラシーやICTのスキルも不可欠であると感じています。従来の教育手法は大きな転換期を迎えており、教師も自身の指導法を見直し、新たな技術を学ぶ必要があります。変化の時代に対応し、学校改革のスピードを上げていくことが求められています。教育とは単に「教える」ことではなく、「育てる」ことが本質です。効率的な学び、実践力、想像力や創造力、他者を思いやる心、感謝の気持ち、そして困難に立ち向かい責任を果たす力。こうした資質を育むことが私の教育理念です。成績に偏らず、自ら学び、正しい判断をし、未来を描ける子どもたちを育てたいと願っています。

教育者の張伯岑氏は「教育とは知識や体力を教えるだけでなく、人としての在り方を教えることが重要だ」と述べています。本校でも、学力の向上だけでなく、「親孝行と師友への敬愛」という校訓を大切にしています。東京で90年以上にわたり学校が続いてきたのは、子どもたちに知識だけでなく、人間としての品格を育んでほしいと願う保護者の皆様の思いに支えられてきたからです。全教職員とともに、私もこの理念を大切にし、次世代を担う子どもたちの成長を心から支えてまいります。

2025年4月吉日
学校法人 東京中華学校
校長 呉 育珊