“名門校”の新人教師の不安…大学の入試問題解き再開に向け準備 探る「生徒のためにできること」(東海テレビ)
長引く休校について、愛知県では、夏休みを短縮して授業の遅れを解消するなどの対策が決まっている自治体もありますが、まだまだ解決しなければいけない問題ばかりです。
中でも悩みの種となっているのが、大学受験を控えた高校3年生への対応です。名古屋の名門高校の教師の生の声を取材しました。
先生たちは悩んでいます。
先生:
「5月の末まで延びたんですけど、さらにその後どうなるかが分かんないのが不安で。どうやって授業やっていくのとか」
別の先生:
「我々がどんどん課題を出していくことはできるかもしれないですけど、すでに置いてかれちゃってるような子が、どんどん置いてけぼり状態になっちゃうんじゃないかというのが…」
名古屋市立向陽高校。名古屋市の市立高校の中で2番目に古く、ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんも学んだ名門校です。
休校中の生徒からの届いたアンケートには…。
3年女子生徒:
「この長い期間の中で、自分の勉強が身になっているのか確かめる方法もなくて、不安です」
3年男子生徒:
「3年生最後の行事は全部やりたかったな」
鈴木校長:
「1日でも早く生徒たちとつながって授業ができるのが、一番先生にとっても願いであります。生徒思いの先生ばっかりですから、生徒のことが気になるんですね。いろんなことを考えてやってくれていますので」
向陽高校では4月21日から、新型コロナウイルスへの感染対策のため、約60人の教師を3つのグループに分け、出勤と在宅勤務を繰り返す勤務体制をとっています。
新型コロナウイルスの影響で、休校となって2か月あまり。授業の遅れをどう解消するのか、先生たちもそれぞれが試行錯誤しています。
物理の先生:
「こんにちは。今日からやる単振り子の単振動というのを…」
物理の先生が喋りかけるのは1台のデジタルカメラ。誰もいない実験室でカメラに向かって授業をして、その動画をWEBで配信しています。
物理の先生:
「どうやったら授業みたいに盛り上がるというか、リアクションが見れないのでちょっとよく分からないんですけど、自分なりに工夫して、毎回の動画を変えるようにしています」
県内有数の進学校でもある向陽高校。大きな心配事の一つが、大学進学を控えた3年生への影響です。
進路指導の先生:
「どんどん予定が変わってますので。当初予定していた説明会も延期になって、28日もダメになったんで、またこれで変更しないといかんかな」
予定していた進路相談の説明会の期日も決まらないままです。自宅で受験勉強に取り組む3年生からは、連日、不安の声が上がっているといいます。
進路指導の先生:
「日常が急に遮断されたというところで、生徒の受験の問題集の添削をメールでやってるんですけど、その中で聞いてみても『何をやっていいか分からない』『手のつけようがない』ということを言ってくる生徒もいます」
4月に教師になったばかりの加藤大樹さんは、授業が一回もできていない状況。まだ授業の経験もない新人教師ですが、3年生のためにできることはないかと、動き出しました。
加藤先生:
「今は…九州大学の問題をやっています。地方からやっていって、いずれは東大でもやろうかなって(笑)」
解いていたのは大学入試の問題。生徒に勉強の質問をされた時、どんなことにも答えられるように。加藤先生なりの準備ですが、生徒にとって何がベストなのか、これだという解決策はまだ見つかっていません。
加藤先生:
「教える側に立つので、責任感を持ってやらないといけないですし、ちゃんと今のうちに準備して、良い授業ができるように頑張っていきたいと思います」
鈴木校長:
「6月からやるにしても、いきなり(通常通り)はできないんで、準備運動が必要だと思うんですよ。1つの授業は65分間かかってやってるんですけど、きっと生徒たちも倒れちゃうんじゃないかな。先生たちも2カ月授業やってませんから、きっと先生たちもかなりくたびれるんじゃないかなと思うんですよ。
もし学校が再開してもクラスを半分にすることも必要ですし、おそらく中には、まだコロナがあるので学校に来れませんという生徒も何人かいるんじゃないかなと思うんですよ。そういった生徒のフォローもしていかなきゃいけないと思いますね」
生徒たちのためにできることは…先生たちも、悩み、もがいています。
(東海テレビ)