ネット学習支援「特定警戒」優先 学校再開へ新指針 学習計画繰り越しも(日本経済新聞)
指針では、14日以降も大半の学校で休校が続く特定警戒の自治体を対象に、家庭でのインターネット環境が整っていない児童生徒に通信端末やルーターが速やかに行き渡るよう優先して配置するとする。文科省は2020年度補正予算で、小中学生のオンライン学習の整備費として、約2200億円を計上した。
休校中の学びを取り戻すため、1学年ごとに決まっている教育課程を2~3年間でカバーできるよう計画を立て直すことを認める。進学を控えるため、この特例措置の対象から外れる小6や中3は「優先的な分散登校」を促すほか、文科省が専用の教材を作り各自治体に公表する調整を進めており、1年で学習を終えられるようにする。
学校再開時には、改めて密集、密接、密閉の「3密」を避ける取り組みをとるよう強調する。1つの学級を分割し、教室と、学校以外の公民館や図書館など公共施設を使うことを例示。教室内での授業をネットでつないで同時に配信する「集合型オンライン指導」も実施すべきだとする。
ただ児童生徒が使う教室数が増えるため、現職教員だけでは人手が足りなくなる懸念もある。退職教員や大学生、塾講師ら地域人材を活用することも各自治体に求める。
これまで文科省は家庭学習支援を中心に通知などを出してきたが、今回の指針では学校を中心とする「段階的な教育活動再開」を促す。ただ「すべての学習内容を取り戻すのは土曜授業や夏休み短縮だけでは厳しい」との声もある。
同省は授業時間を圧縮しやすくするよう、教科書発行元に家庭学習で対応できる単元の抽出を要請する方針。これを踏まえ、指針では個別でも実施可能な学習は家庭で行い、対面授業と同様に評価するよう求める。