こんにちは。なめこです。
今日はそもそも学校って何なんという問いについて、理解を深めてみましょう。
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まとめ
① 学校には教育的な目的がある。
② 学校には教育的目的に関する組織や計画がある。
③ 学校は日本国や自治体の法令に従う必要がある。
④ 学校で子どもの利益が守られるべきだという考え方がある。
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一定の教育目的のもとで教師が児童・生徒・学校に組織的・計画的に教育を行う所、またその施設。(岩波書店『広辞苑 第六版』)
ある国語辞典は学校について上のように説明しています。では「一定の教育目的」とはどのようなものなのか、「組織的・計画的」というときの組織や計画の内容はどういうものなのか、そういったことが気になりますね。
また日本国の学校教育法という法律は、その法律で学校とはどのようなもののことを言うのか、その「学校」以外にどのような教育に関するものがあるのか、法的に定義しています。みなさんが通う学校は法令でどのように取り扱われているのか、確かめても良さそうです。
法令は各学校に関する規則を明らかにしています。このように学校は国や自治体の定めた法令に従って活動する必要があります。人や組織は日本国内にある限り、日本国内の法令に従う必要があるので、日本国以外の国の人や外国の学校もそれは同じです。学校を運営するのが子供ではなく大人だとすると、そういった法令遵守は学校に関わる大人の務めだと言えそうです。子供がルールを守る前に組織の大人がルールを守らなくてはなりません。
例えば「校則」について考えてみましょう。校則というのは学校の規則です。児童・生徒を対象に学校が規定するものだとされます。
学校を所轄する文部科学省は「生徒指導提要」という文書で、校則について以下のように説明しています。
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第7章 生徒指導に関する法制度等
第1節 校則
校則は、学校が教育目的を実現していく過程において、児童生徒が遵守すべき学習上、生活上の規律として定められており、小学校では「○○学校のきまり」、「生活のきまり」、「よいこの一日」、中学校・高等学校では「校則」、「生徒心得」などと呼ばれています。これらは、児童生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長していくための行動の指針として、各学校において定められています。児童生徒が心身の発達の過程にあることや、学校が集団生活の場であることなどから、学校には一定のきまりが必要です。また、学校教育において、社会規範の遵守について適切な指導を行うことは極めて重要なことであり、校則は教育的意義を有しています。
1 校則の根拠法令
校則について定める法令の規定は特にありませんが、判例では、学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的範囲内において校則を制定し、児童生徒の行動などに一定の制限を課することができ、校則を制定する権限は、学校運営の責任者である校長にあるとされています。裁判例によると、校則の内容については、学校の専門的、技術的な判断が尊重され、幅広い裁量が認められるとされています。社会通念上合理的と認められる範囲で、校長は校則などにより児童生徒を規律する包括的な権能を持つと解されています。
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また「ブラック校則」という言葉がニュースや新聞で聴かれます。
「下着は白」の校則、全校で削除 ひざ掛け禁止も見直し(朝日新聞)
下着や髪形「ブラック校則」 過度な制限、見直し求める(朝日新聞)
校則・黒染め指導、違法性は否定 原告側は控訴を検討(朝日新聞)
スクールロイヤー、現場知る弁護士もっと 現役教員の弁護士、神内聡さんに聞く(朝日新聞)
弁護士に拠れば合理的な理由がない指導や決まりで子どもを縛るのが「ブラック校則」です。これは上の生徒指導提要の中にある「学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的範囲内において校則を制定し、児童生徒の行動などに一定の制限を課する」とする判例に係るものだと思われます。
日本弁護士会に拠れば、教育や福祉の視点を採り入れて「法的観点から継続的に学校に助言を行う弁護士」がスクールロイヤーです。学校や教育委員会の代理人とは異なり、子どもの利益を守ることが優先されるといいます。
学校と子どもの利益が相反するとき、弁護士は難しい立場に置かれることが想像できます。とは言え、子どもの利益を守る法律の専門家が社会的に重要であるのは多くの人が賛成するところでしょう。
このように学校が定めるルールである校則についても、合理的なのかどうか、法的なチェックや社会的な判断が要ると考えられます。
これもやはり学校は法令に従って活動する必要があるということだと思います。
その上で学校で学ぶ児童や生徒の利益が守られること、さらにその上で学校に関する教育的目的が達成されることが望ましいのでしょう。